令和6年8月
昭和・平成を生きた先輩から令和を生きる諸君へ
理事長・館長 小 林 元 治
この6月、頃安理事長・館長の後任として、公益財団法人鶴山館理事長・館長に就任しました小林元治です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
私は、昭和46年4月、鶴山館に入館しました。同期には清田寂順さんや目瀬敏明さんらがいました。当時の鶴山館は、鉄筋コンクリート4階建ての立派なもので、所在する本郷森川町は、修学旅行生の多くが宿泊する旅館群の中にあり、東大正門からも近く、学生の勉学にもってこいの環境にあり、まさに昭和のたたずまいの中にある学生寮でありました。
当時の日本は戦後復興の右肩上がりの高度経済成長の成果を多くの国民が共有するなか、精神の自立・自尊、心の豊かさを求めて若者が既存の価値に反発する行動に出ていました。大学にあっては学生管理、授業料値上げ反対のため大学紛争が全国の大学で頻発しました。ベトナム戦争反対といった若者の人道的正義を掲げる動きなども当時の学生の内なるエネルギーの発露であったともいえます。
現在、世界はウクライナ戦争やガザ戦争など地域紛争により多くの尊い人命が失われ続けています。第二次世界大戦を経て構築された国連は機能不全に陥っています。日本では経済安保や中国・台湾の地政学的リスクも抱えています。令和の時代に生きる学生諸君には、学問にいそしみ、人間性を養い社会の有為な人材たれという鶴山館の設立の趣旨を今一度胸に刻んで、失敗を恐れず挑戦して自らの人生を切り開いてもらいたいと念願しています。